児童相談所の仕事はきつい?元職員が仕事内容・やりがい・大変だったことを解説
こんにちは、HSP社会福祉士のたくやです。
私は社会福祉士として約4年間福祉職に従事し、その中で児童相談所でも勤務していました。
児童相談所というと、
「虐待対応で大変そう」
「精神的にきつい仕事なのでは?」
「実際はどんな仕事をしているの?」
というイメージを持つ方も多いと思います。
実際、私自身も働く前は仕事内容を詳しく知りませんでした。
働いてみると、確かに精神的にも体力的にも大変な仕事でした。
一方で、それ以上に子どもや家族と関わる中で得られるやりがいや学びも多くありました。
この記事では、実際に児童相談所で働いた経験をもとに、
- 仕事内容
- きついと感じたこと
- やりがい
- 向いている人
などについて、できるだけリアルにお伝えします。
これから児童相談所への就職・転職を考えている方や、福祉職に興味がある方の参考になれば嬉しいです。

結論|児童相談所は確かにきつい。でも学びも大きい仕事だった
児童相談所がきつい仕事というのは間違いありません。
精神的負担が大きく、やむを得ず仕事を続けられなくなる人もいます。
私も一度、療養休暇を取得したことがありました。
一方で、福祉職として大きく成長できる、
児童福祉の中でも特にやりがいのある職場だと感じています。
実際に働いていたからこそ、児童相談所の重要性がよく理解できますし、今も子どものために働いている職員の方々には頭が下がる思いです。
児相に興味のある方に向けて、
私の経験をお伝えできればと思います。
児童相談所とはどんな職場?
児童相談所の役割
児童相談所(通称:児相)は、原則18歳未満のすべての子どもを対象に、健全な育成や権利擁護を目的として設置された行政機関です。
虐待対応のイメージが強いですが、
それだけでなく、発達や養育、
非行など幅広い分野を扱います。
その役割は多岐にわたり、
- 子どもに関する相談対応(虐待・発達・家庭問題・非行など)
- 必要に応じた調査や心理検査
- 保護者への支援や指導
- 一時保護や施設・里親への委託
- 関係機関(学校・医療・警察など)との連携
などが挙げられます。
「子ども本人だけでなく、家庭や地域を含めた環境全体をどう支えていくか」が大切な視点です。
どんな職種が働いている?
児童相談所では、子どもの最善の利益を守るため、福祉、心理、医療、法律などの多様な専門職がチームを組んで働いています。
児童福祉司(ケースワーカー)
相談の受付、家庭訪問、子どもや保護者との面接、援助方針の決定などにおいて最も中心的な役割を担います。
家庭への介入から支援の構築まで、
事案の「進行管理」を担う中心人物です。
児童心理司(心理判定員)
心理学の専門知識をもとに、子どもの心理検査や行動観察を行い、心の状態や発達の状況を把握・診断します。
心の傷や発達の特性を「科学的な視点」から紐解く専門職です。
医師(小児科医、精神科医など)
心身の健康状態、虐待によるケガ(身体的虐待、ネグレクト)の医学的診断や、発達障害・精神疾患の診断を行います。
弁護士
法的な手続きや介入をバックアップする専門家です。
立ち入り調査や、親権を一時的に停止する「親権喪失」などの法的手続きを弁護士の視点から助言します。
児童相談所長が裁判所に申し立てを行う際の書類作成や、審判への同席も行います。
一時保護職員(児童指導員・保育士など)
一時保護所で生活する子どもたちのケアや生活指導を行い、日々の安全と安心を守ります。
一時保護された子どもたちと「24時間」寝食を共にする生活の支え手です。
保健師・看護師
子どもの健康管理や発達のチェック、
医療的なケアを担います。
事務職員
受付や各種書類の管理、予算編成、施設管理など、現場の専門職をサポートします。
実際の仕事内容
虐待通告への対応
虐待の主な通報経路としては、警察、近隣知人、学校等からの連絡がほとんどです。
通報が入ったら、まずは市役所や学校等の各関係機関に調査を行います。
家族構成や普段の様子など、様々な情報を集め、その家庭の実態を調べていくのです。
その後、緊急受理会議を実施し、
上司と共に対応方法を検討していきます。
訪問するのか、呼び出しするのか、
誰が対応するのか、この会議で決定します。
一時保護等の緊急対応が必要な場合も多く、
スピードが求められるため、
現場は非常に慌ただしいです。
家庭訪問・面談
緊急受理会議で方針が決定すると、
訪問・面談などの対応を行っていきます。
虐待通告を受けた児童相談所は、48時間以内に子どもの安全確認(直接の面会や目視)を行うというルールがあります。
48時間ルールとも呼ばれており、虐待の早期発見と子どもへの重大な被害(最悪の場合の死亡など)を防ぐための全国的な基本対策となっています。
そのため、学校や家庭を訪問して子どもの安全を確認することは日常茶飯時です。
保護者との面談も必要なので、家庭訪問もしくは所に呼び出して面談をします。
学校・警察・病院との連携
学校
児相では関係機関との連携が欠かせません。
学校は普段の子どもの様子を知っている、
見守りを行っている重要な機関です。
虐待通告が入り、調査を行う際には必ず学校からも情報をとります。
痣ができている、不衛生・不適切な衣服など、
登校時に異変を感じ取り、
児相へ連絡が来るパターンもよくあります。
警察
警察から児童通告が入ることもよくあります。
警察への通報だったとしても、子どもがいる家庭の案件は児相も対応しなければなりません。
また、児相だけでは対応に不安がある場合には、警察に同行してもらう場合もあります。
危険な案件の場合は、
警察への援助要請を検討します。
病院
病院から虐待通告を受けることもあります。
乳幼児健診、予防接種、一般外来を通じて、子どもの発育や不自然な外傷、不潔な衣服などからネグレクトや虐待のサインを察知できるためです。
傷病を分析し、児相に客観的な資料を提供する役割もあります。
精神的なトラウマ(PTSD)を抱えた子どもや、発達障害、精神疾患を持つ子ども・保護者に対して治療を行う重要な役割もあります。
日頃からこれらの関係機関と連携が取れていると、緊急時にも動きやすいです。
逆に連携が取れていないと、対応が遅くなったり、子どもの不利益になりかねないので、関係機関とはしっかりコミュニケーションを取る必要があります。
ケース会議・記録作成
継続的な対応が必要な場合や、対応が難しいケースについては、適宜ケース会議を行います。
ケース会議では、情報共有や支援方針の決定、
役割分担の確認などを行います。
虐待等の通告が入ってから、児相が調査や会議、訪問や面談等の対応を行う過程は、全て記録に残さなければなりません。
対応の度に記録を残せればいいのですが、近年は虐待件数がどんどん増加しており、毎日のように対応に追われて記録どころではないことも多いです。
とはいえ、記録は大事なので、何とか時間を見つけて作成しなければなりません。
また、2025年(令和7年)6月1日から児童相談所の一時保護に関する司法審査が始まりました。
児童相談所が裁判所へ一時保護状を請求するのですが、保護開始から7日以内と非常にタイトなスケジュールのため、記録もより早く正確に残す必要があるのです。
一時保護対応
児童相談所は、子どもの命や心身の安全を守るため、親の同意がない場合でも一時的に子どもを保護する強い権限を持っています。
養育環境が整っていないために保護することもありますが、多くの場合が虐待やその疑い、家出などで緊急に子どもを保護する必要がある場合に保護します。
虐待の疑いのある子どもを保護する場合、
保護者と子どもを接触させないよう速やかに保護しなければいけません。
子どもの保護、保護者の呼び出し面接のタイミングを調整し、職員がしっかりと役割分担をして動いていきます。
現場は非常に緊張感があり、
正直何度やっても慣れません。
きついと感じたこと
精神的な負担が大きい
そもそも児相の仕事は精神的負担が大きいのですが、私の場合はHSPという特性も相まってかなりしんどかったです。
保護者への虐待指導、
浴びせられる罵声、
泣き叫ぶ子どもの対応。
誰かがやらなければいけない大事な仕事ですが、できればやりたくはないような仕事が多いです。
やりがいは非常に大きいのですが、
精神的負担から体調を崩す人、
退職してしまう人も少なくありません。
私の場合は、一時保護した子どもの保護者を呼び出す電話が一番苦手でした。
相手のことを詳しく知らない状況で、
淡々と保護したことを伝え、
所に呼び出さなければいけません。
当然反発したり、激昂したりする方もいます。
その後の面接も同様に苦しいものです。
保護に納得できず、暴言を吐いたり、
物に当たる方もいます。
ベテランの先輩職員も、こればかりは慣れるものではないと話していました。

責任が非常に重い
軽微なケースであれば、一度の面談等での指導で終えられることもあります。
ですが児相で働いていれば、そうはいかないケースの対応もたくさんすることになります。
一時保護の決定、子どもの移送、保護者への対応など、自分たちの対応が子どもの命や安全に繋がってきます。
気づかないうちに大きなストレスがかかり、
体調を崩してしまったこともありました。
それほど児相の仕事というのは、
責任が大きいものなのです。
緊急対応が多い
児童相談所は行政機関なので、
基本土日休みです。
ですが、子どもの安全に関わる緊急の通報や相談には24時間体制で対応しています。
私の勤務していた児相では電話当番が設けられており、対応が必要な場合は休日・夜間であっても対応します。
たとえ休日であっても、自分が当番の日はいつ通報が入るか分からないので落ち着きません。
もちろん上司には相談できますが、児相で働き始めてすぐは休日の対応が怖くて仕方なかったです。
保護者との関わり
多くの方がきついと感じるのは、
やはり保護者の対応だと思います。
保護者は本当に色んな方がいます。
詳しくは書きませんが、信じられないような保護者や家庭を目にすることも多いです。
理不尽に怒られたり、こちらの対応を理解してくれないこともあります。
そんな方たちが相手だったとしても、
対応は続けなければいけませんし、
信頼関係も築いていく必要があります。
児相で経験を積んでいけば、ケースワーカーとしてどんどん腕が磨かれていくでしょう。
ですが、そこにはかなりのしんどさが伴うことも忘れてはいけません。
やりがいを感じたこと
家族が少しずつ変化した
ここまでしんどいことばかり羅列してきましたが、その分やりがいも非常に大きいのが児相の仕事です。
仕事をしていてよかったと思えることとして、
家族が変わってくれたことが挙げられます。
子どものために家庭環境を見直してくれた、
児相の指導にも従ってくれた、
継続的に努力してくれた。
支援する側としてこれは非常に嬉しいことですし、モチベーションも上がります。
子どもが家庭で安全に生活できる環境が整い、
家族が幸せそうにしている姿が一番です。
なかなか上手くいかないケースに目が行きがちですが、児相の支援や子ども・保護者の頑張りがあり、良い方向へ進んでいるケースがあることも忘れないでほしいですね。
子どもの成長を見られた
保護者ではなく、子どもに問題があるケースもよくあります。
そんな子どもが、児相の指導や保護者の協力によって成長していく姿は感動ものです。
子どもとの関わりは心理司の方がメインとなりますが、ケースワーカーも一緒に成長を見守ります。
児相の指導を終え、子どもが地域で上手くやっていると聞いた時、この仕事をやってよかったなと思います。
私は児相に勤める前、
児童自立支援施設に勤務していました。
そこでも同様に、子どもの成長を見て感動する機会が多くありました。
子どもを支援したい方にとって、児相や児童福祉関係の施設は、かなりやりがいを感じられる職場だと思います。

福祉職として成長できた
児相は福祉職として大きく成長できる場所です。
しんどいことは確かですが、ここまでやりがいが大きく、さまざまなケースや人と関われる仕事はそう多くないと思います。
アセスメント力、危機管理能力や意思決定力、多機関巻き込み力、面接・交渉スキル、法的根拠に基づく実務能力など、児相での経験が様々な能力を向上させてくれます。
児相で培われる能力は、福祉業界でもトップクラスの汎用性と専門性を持っていると思います。
児童相談所に向いている人
傾聴力の高い人
児相に限らず、ケースワーカーのような対人援助職において、傾聴力は非常に重要です。
傾聴力が高い人は、単に音として話を聞くのではなく、相手の気持ちに共感し、言葉の奥になる意図や感情まで深く理解しようとするので、コミュニケーションに長けています。
私のHSPの特性は、精神的負担が大きいというデメリットがある一方、共感力が高いというメリットもあります。
私の場合、特に相手に安心感を与えるようなコミュニケーションが得意でした。
傾聴力は意識して鍛えることもできるので、
人と関わる仕事をしたい方、
コミュニケーションが上手くなりたい方は、
ぜひ傾聴力を伸ばしてみてください。
冷静に判断できる人
児相で働く場合、冷静に判断ができることが望ましいです。
ついつい保護者や子どもに同情したり、
予想外のできごとに焦ってしまったりすることがあるかもしれません。
そういった時に、リスク評価を誤らず、
冷静な判断ができる人は強いです。
子どもにとって最善は何か、客観的な判断ができるようになると、将来的には頼りになるスーパーバイザーとして活躍できると思います。
学び続けられる人
どの仕事においてもですが、
学び続ける姿勢は大事です。
全く同じケースはありません。
ケースの数だけ対応も考える必要があります。
また、児相を取り巻く法や制度は頻繁に改正が行われます。
先輩後輩関係なく、
職員全員に学ぶ姿勢が求められるのです。
チームで働ける人
児相では、チームで動けることは絶対条件だと思います。
これについては児相が向いている向いていないではなく、チームで動けないと仕事ができないからです。
保護者の面接や子どもの保護など、大事な場面では必ずチームで動くことが必要です。
独断による行動や、コミュニケーション不足が、最悪の結果を招くことになるかもしれません。
職員全員と仲良くなれというわけではありませんが、最低限のコミュニケーションは必要だと思います。
向いていない人
- 一人で抱え込みやすい
- 感情を切り替えられない
- 人と関わることが極端に苦手
私の個人的な意見ですが、こういった人は児相の仕事は向いていないかもしれません。
でもこれは向いていないかもという話であって、児相で働けないわけではありません。
何を隠そう、私も一人で抱え込みやすく、感情を切り替えられないHSPの人間だからです。
苦手だな、向いてないなと思うことがありながらも、仕事は続けていました。
自分に向いていない要素があったとしても、児相で働いてみたい、子どもや保護者の支援をしたいという気持ちがある方なら、ぜひ挑戦してほしいなと思います。
逆に言えば、公務員で安定してそうだから、何となく児相は聞いたことがあるからといったような、あっさりとした理由で児相を志すのは避けたほうがいいかもしれませんね。
自分がどんな仕事をしたいかじっくり考え、
納得できる選択をしてください。

まとめ
児童相談所は、確かに精神的にも責任の面でも大変な仕事です。
虐待対応や緊急対応など、一つひとつの判断が子どもの人生に大きく影響するため、プレッシャーを感じる場面も少なくありません。
私自身も働く中で、悩み、落ち込み、自分の力不足を感じることが何度もありました。
それでも、子どもの笑顔を見られた瞬間や、家族が少しずつ前向きに変わっていく姿を見るたびに、「この仕事をやっていて良かった」と思えました。
児童相談所は決して楽な仕事ではありません。
しかし、人の人生に深く関わり、福祉職として大きく成長できる職場でもあります。
もし児童相談所への就職や転職を考えている方は、「きつい」というイメージだけで判断するのではなく、仕事内容ややりがいも知ったうえで、自分に合っているかを考えてみてください。
この記事が、児童相談所という仕事を理解するきっかけになれば嬉しいです。

