【HSP社会福祉士】「優しい人」が福祉の現場を辞めていく本当の理由
こんにちは、HSP社会福祉士のたくやです。
福祉の現場で働いていると、こんな場面を見たことはないでしょうか。
一番利用者に寄り添っていた人が辞めていく。
誰よりも真面目だった人が限界を迎える。
その人の退職を聞いたとき、どこか胸がざわっとした経験はないでしょうか。
そしてそのたびに、こんな言葉が聞こえてきます。
「向いてなかったのかもね」
「優しすぎたんだよ」
でも私は、ずっと違和感がありました。
本当にそうでしょうか。
優しい人は“向いていなかった”のでしょうか。
私自身、福祉の現場で働いていた頃、子どもや保護者の気持ちに寄り添いたい、役に立ちたいという思いが強いほど、心と体の消耗がどんどん大きくなっていく感覚がありました。
やりがいはあるのに、なぜか続かない。
向いているはずなのに、心がもたない。
それは「弱さ」ではなく、
優しさの使い方が限界を超えていた結果だったのかもしれません。
今回は、「優しい人」が福祉の現場を辞めていく本当の理由について、HSP気質と現場経験の視点から整理してみようと思います。
👉「関連記事:感受性が強い人ほど、福祉現場で消耗しやすい理由」

「優しい人ほど続かない」現場の矛盾
福祉の現場において、優しい人ほど仕事が続かないというのはあるあるではないでしょうか。
一番利用者に寄り添っていた人、
周りから頼りにされていた人、
誰よりも真面目だった人。
この人が辞めたら困ると思われている人ほど、なぜか先にいなくなってしまうことがあります。
私は児童自立支援施設や児童相談所など、児童福祉の分野で勤務していました。
過酷な現場だからこそ、仕事ができる人の活躍は分かりやすいです。
この人の仕事ぶりはすごい、この人は優しくて福祉に向いているなど、尊敬できる人が何人もいました。
ところが、そういった人の中には、仕事を辞めたり、体調を崩して療養休暇に入ってしまう人も少なくありません。
優しい人ほど、消耗も激しいのです。
これが全てだと思います。
福祉の現場では、仕事を辞める人が多いとよく耳にします。
私が働いていた部署でも、毎年たくさんの人が退職していました。
私も退職を選んだうちの一人です。
なぜ“優しい人”から消耗していくのか
感情を受け取る量が違う
優しい人は共感力が高く、利用者の怒りや悲しみを“情報”ではなく“体感”で受け取ります。
相手の感情に振り回されてしまい、共感疲労がどんどん溜まってしまうのです。
HSPの方は特にこの傾向が強いです。
外部刺激を深く処理し、人の感情を察しすぎて自分事のように感じてしまいます。
私自身もHSPであり、子どもや保護者の対応に精神をすり減らしていました。
その結果体調を崩してしまい、療養休暇を取得したこともあります。
優しい人の共感力は、福祉の仕事において大きな強みです。
一方で、感情のアップダウンが激しく、非常に疲れやすいといった側面もあるのです。
境界線を越えてしまう
優しい人は相手に共感しすぎてしまうため、
「ここまででいい」ができない人も多いです。
相手のためを思って、本来の業務以上の支援を行ってしまうこともあります。
休みの日も仕事のことが頭から離れないという人もいるでしょう。
過剰な業務を抱えることで、心身はどんどん消耗していきます。
また、境界線を超えた支援を行うことで、相手とトラブルに発展したり、過剰な支援を要求される場合もあります。
そうなっては余計に負荷が大きくなってしまいます。
たとえ相手のためを思ってのことでも、しっかり境界線は引かなければいけません。
自分より相手を優先する
優しい人は、自分よりも他人を優先してしまいがちです。
何でも相手に合わせてしまう、頼み事を引き受けてしまう、自分の意志が分からなくなってしまうといったことがよくあります。
責任感も強いので、何でも一人で抱え込んでしまい、その結果潰れてしまうのです。
自分の休憩時間を削る、記録を持ち帰って勤務時間外に仕事をするなどの行動は、過剰な業務を抱えているサインです。
限界を迎える前に、適切なケアを行う必要があります。
辞めたのは「弱さ」ではなく“限界を守った結果”
辞めてしまうこと自体は、決して弱さではありません。
限界を守った結果です。
先述の通り、福祉の現場ではどうしても優しい人が消耗しやすいです。
仕事を辞めることは、自分を守る選択でもあります。
仕事は続けることが正しい、辞めるのは良くないと考えている人もいるかもしれません。
でも、私はそうは思いません。
限界を迎えるまで働き続けることが正解なはずがありませんから。
一番大事しなければいけないのは、自分自身です。
それでも福祉に向いている人の特徴
消耗しやすいという側面はあるものの、優しい人が福祉の仕事に向いていることに変わりはありません。
優しい人やHSPの人の共感力の高さは、福祉の現場で大きな力になります。
小さなサインや微妙な変化に気がつくことができるので、相手のニーズを把握しやすいのです。
その上、丁寧な対応ができるので、相手と信頼関係を築き上げることも得意です。
とにかく、福祉の現場で活きるような力をたくさん持っています。
すぐに消耗して疲れてしまう自分は、福祉の仕事に向いていないと思う必要はありません。
福祉の仕事には向いている、でも疲れやすいという理解をしましょう。
👉「関連記事:HSPは福祉職に向いている?向いていない?現場経験から考える」

必要なのは“強くなること”ではない
福祉に向いている優しい人が仕事を続けるために、“強くなること”は必要ではありません。
大事なのは、働き続けるためのちょっとした工夫です。
必ず取り入れてほしいのは、境界線を引くこととセルフケアです。
まずは相手との境界線を意識してください。
先述の通り、境界線を超えた支援は、トラブルや自身の業務増加を招きます。
あくまでも、支援者と被支援者の関係。
適切な距離感を意識しましょう。
そして忘れてはいけないのはセルフケア。
意識して休息を取ることが、福祉の仕事を続ける土台になります。
限界が迎えてからでは遅いので、趣味や安心できる時間を習慣化しましょう。
👉「関連記事:疲れやすい人が、自分を守るためのセルフケア」

まとめ
「優しい人が辞めていく」
私はこれまでの現場で、優しい人が静かに限界を迎えていく姿を何度も見てきました。
けれどそれは、向いていなかった証拠でも、根性が足りなかった結果でもなく、優しさを限界まで使い続けた証だったのではないでしょうか。
利用者の気持ちを受け取り、場の空気を読み、誰かの負担を減らそうと動き続ける。
それは立派な力であり、福祉現場にとって本当に大切な力です。
ただ、その力はとてもエネルギーを使います。
回復の時間がなければ、どんなに向いている人でも消耗してしまいます。
だから必要なのは、強くなることでも、鈍感になることでもありません。
優しさを“なくさない”まま、使い切らない方法を知ることが重要なのです。
もし今、
「向いているはずなのに続かない」
「辞めた自分は弱かったのかも」
そう感じているなら。
それは、あなたが本気で向き合ってきた証かもしれません。
どうか、自分を責めすぎないでください。
あなたの優しさは、欠点ではなく、確かに誰かを支えてきた力です。
その優しさを、これからは自分自身にも向けてあげてくださいね。
🌱優しい人が、優しさごと壊れなくていい世界であってほしいと、私は本気で思っています。
👉「関連記事:HSP社会福祉士の私が、福祉職を辞めて留学を決めた理由」

