児童自立支援施設の1日の流れ|元職員がわかりやすく解説
こんにちは、HSP社会福祉士のたくやです。
私は大学卒業後、児童自立支援施設で3年間勤務しました。
児童自立支援施設は、不良行為をした子どもや、そのおそれのある子どもに対して、自立に向けた生活指導・学習支援を行う児童福祉施設です。
私の場合は県庁の公務員試験に合格し、たまたま1年目から児童自立支援施設に配属されました。
同じ県の組織である児童相談所等と連携していくのですが、実際の現場での一日はあまり知られていません。
私自身、児童自立支援施設での勤務を経験した後に児童相談所でも働くことになるのですが、やはりそこでも児童自立支援施設の現場について知る人はほとんどいませんでした。
この記事では、
児童自立支援施設でどんな1日が流れているのか
元職員、HSPの視点から、できるだけ分かりやすくお伝えします。
これから福祉の仕事を考えている方、
児童自立支援施設に興味がある方の参考になれば嬉しいです。
👉 「関連記事:児童自立支援施設とは?役割と現場のリアル」

児童自立支援施設とは?
児童自立支援施設は、児童福祉法44条に基づく児童福祉施設で、不良行為をした児童や、その可能性のある児童を入所させ、自立支援と生活指導を行う施設です。
主な対象は、小学生から概ね18歳までの子どもで、
- 家庭環境の問題
- 学校での不適応
- 非行傾向
- 発達特性による困りごと
- 家庭からの働きかけだけでは支援が難しい場合
など、さまざまな背景を抱えています。
目的は「自立の基盤を整えること」。
生活・学習・人間関係・社会性などを包括的に支援しながら、子どもが再び家庭や社会の中で生活できるようにサポートする場所です。
児童自立支援施設の一日の流れ
ここからは私の働いていた児童自立支援施設の一日の流れについてお話していきます。児童自立支援施設は施設によってルールが様々なので、あくまで一例として考えてくださいね。
起床・朝の準備
私の働いてた施設では、起床時間は7時に設定されていました。7時になると職員が電気を点け、子どもに声掛けをします。7時14分になると全員がホールに整列し、朝の挨拶をする流れになっています。
子どもたちは整列までに布団を畳む・洗濯物を出す・洗顔・トイレを終えなければいけません。早く終えた子はテレビを見てゆったりしていますね。挨拶に間に合わなかった子はペナルティ(その日は居室で生活)が与えられることもあります。
朝に限らず、1日のスケジュールは分刻みで非常に細かく設定されています。ルールも同様に非常に細かいです。刑務所のようなところでは決してありませんが、結構厳しいです。
こうした環境で生活していく中で、子どもたちが自立の基盤を整えられるようにサポートしていきます。
朝食・掃除・登校準備
食事の準備は基本的に職員が行います。通院している子どもも多いので、服薬管理も同様に職員が行います。児童自立支援施設には看護師が配置されており、私の働いていた施設では看護師があらかじめ薬を準備してくれています。
食事は以前みんなで一緒に食べていたようですが、コロナ禍に入ってからは居室での食事となり、今はそれが定着しています。私が配属された頃にはすでに居室での食事になっていましね。
おかわりは自由ですが、盛り付けるのは職員です。子どもが行うとトラブルが起きる可能性があるためです。限りがあるものについてはじゃんけんで決めています。おかわりをしたにも関わらず、食事を残した子についてはペナルティ(おかわり禁止)が与えられていました。
朝食後は掃除です。あらかじめ掃除場所は決められており、毎月変更されます。掃除を終えた子は職員にチェックをもらいます。合格した子は掃除終了です。全員が終えたところで余暇時間となります。
掃除や当番仕事は基本的には順番に回ってくるのですが、取り組みが悪い子については連続で同じ当番となることもありますね。
中には特性が強く、掃除や当番仕事以前の問題の子もいます。そういった子にはそもそも仕事を与えません。まずは日課に沿って生活できるようにサポートしていきます。
登校前にはトイレを済まし、5分前には全員居室で着席します。基本的には自分で持ち物チェックをしますが、サポートが必要な子については職員も手伝います。
学校
私の働いていた施設は敷地内に分校が設置されており、寮から整列してみんなで歩いて向かいます。ほんの数分のことですが、登校中にトラブルが起きることもあるので要注意です。
学校には私たち施設職員とは別に、公立の小中学校の先生達がいらっしゃいます。授業は学校の先生達が行い、私たち施設職員は基本見守りです。必要があれば介入するといった感じです。
授業で扱う内容は普通の学校と何ら変わりませんが、相手は特性の強い子どもたちです。学校でのトラブルは非常に多いので、先生たちも私たち施設職員も日々苦労が耐えません。
昼には一旦寮に帰り、昼食をとります。その後また登校し、午後の授業が始まるという流れです。夕方まで授業があり、下校となります。昼に一旦帰るのは特殊ですが、基本的には一般的な学校のスケジュールと変わりません。
毎日の朝礼・夕礼で子どもたちのの様子は全体共有されます。学校や寮での子どもの様子を知る大事な機会であり、子どもへの対応を統一するためにも必要な時間です。
クラブ・作業
学校から帰った後はクラブ活動もしくは作業時間となります。クラブは男女で内容が異なっており、男子は野球、女子は卓球や音楽を行っていました。冬季は男女ともにマラソンに取り組みます。
作業については日によって内容が異なります。野菜を育てるために畑を耕したり、草刈りをしたり、運動会などの行事前には会場設営を行うこともありますね。
クラブや作業は子どもによってモチベーションが大きく異なります。どうすればみんながモチベーションを保って参加できるか、クラブ担当職員はいつも悩んでいましたね。
夕食・入浴・学習
クラブ・作業が終わると、帰寮し夕食となります。食事ルールは朝昼夕全て統一で、職員が準備を行います。
食事後は余暇時間を挟み、入浴の時間です。居室ごとに入浴の順番が回ってきます。1つの居室に複数人いる場合、一緒に入浴することになります。
近年子どもの権利擁護が強く言われるようになり、一緒に入浴させるのはどうなのかと議題にあがっていました。居室の個室化を進める施設もあったり、時代の流れで色んなことが変わってきています。
とはいえすぐにどうこうできるものでもないので、私が働いていた時は結局子どもは複数人で入浴していましたね。
子どもが入浴している間、他の子達は学習時間です。静かに過ごす時間ですが、それが難しい子もいるので、個々の対応が必要になる時間でもあります。
余暇・就寝挨拶・日記記入・消灯
入浴・学習が終わると余暇時間です。1日のスケジュールの中で、至る所に余暇時間が設定されています。基本的に子どもは自由に過ごせます。テレビを見たり、漫画を読んだり、ボードゲームで遊んだりする子が多いです。
ゲーム機は置いていませんでしたが、これについてもよく議論がされていました。ゲームを導入したうえで、向き合い方を学んでいかなければいけないと施設長は言われていましたね。
これもすぐにどうこうできるものではありませんが、私の肌感ではいずれ導入されると思いますね。今はどうなっているのか気になります。
余暇が終わると就寝準備です。電気を常夜灯に切り替え、布団を敷きます。その後、朝の挨拶同様ホールに集まります。職員から子どもへ、1日のフィードバックを伝え、就寝挨拶をします。
就寝挨拶後は、子どもたちは日記を記入します。1日の出来事を振り返り記入してもらうのですが、子どもたちの個性が出ていてとても面白いです。職員は子どもの日記に対してコメントを記入します。
日記を適当に書いて職員コメントもろくに読まない子もいれば、毎日しっかり書いて職員コメントを楽しみにしている子もいます。いわば交換日記のような役割を果たしていますね。
日記記入後は居室で静かに過ごします。ほとんどの子は漫画を読んでいますね。21時55分に消灯となり、全員寝ます。子どもたちの様子が見えるように、居室の常夜灯は点けたままにしておきます。
これで子どもたちの1日のスケジュールは終わりですが、職員は夜間も子どもの見守りをしなければいけません。夜間に問題が起こることもあるので、気が抜けないのです。
職員は何をしている?
ここまでは1日のスケジュールをお話してきました。では職員は何をしているのかというと、基本的に子どもと同じスケジュールを一緒に過ごします。
掃除や当番仕事などを行うのは子どもたちだけではありません。職員も子どもと一緒に行います。掃除や当番仕事に限らず、全ての日課を子どもと一緒になって行っていくのです。子どもに指導をする側の職員ができていないことは、子どもに指導する時に響きませんからね。
野球を教えたり、草刈りの道具の使い方を教えたり、勉強を教えたり、楽器の弾き方を教えたりなど、子どもに何かを教える機会もたくさんあります。
私は学習塾でバイトしていた経験もあったので、勉強を教えるのは得意でした。スポーツや勉強など、自分の経験がそのまま役に立ちます。
施設は変則勤務になっており、早番・遅番・夜勤など様々な勤務時間が設定されています。先述の通り、勤務時間中は子どもを見守りながら一緒の日課を過ごしていくため、その他の仕事は時間外に行うことが多かったです。
記録の記入、会議の準備、関係機関との調整など、主に事務仕事を時間外にすることになります。子どもたちを24時間見守る必要があるので、仕方のないことだと割り切っていました。
夜勤については子どもを見守る必要があるとはいえ、子どもは基本的に寝ているので、事務仕事を進めやすい時間でもあります。子どもたちには最低限目を光らせつつ、事務仕事をよく進めていましたね。
夜間は子どもが寝付くまでの間と、子どもが起き始める夜明けに問題が起きやすいです。職員は仮眠を取ることもできますが、この辺りの時間は起きている必要がありますね。
働くうえで大変だったこと・やりがい
やはりは大変なのは子どもの対応です。1日のスケジュールについてお話しましたが、この通りに進まないことはよくあります。特別難しいことをするわけではないのですが、児童自立支援施設の子どもたちにとっては、この何でもない日課をこなすことが難しいのです。
ルールが守れない、日課に沿って生活できない、子ども同士のトラブル、子どもと職員のトラブルなど、毎日何かが起こります。子どもに手を出されたこともありましたね。暴言なんて毎日のように言われていました。
本当に過酷な職場であったのですが、我ながら児童対応は上手だったと思います。自分のHSPの特性もあったからでしょうか、児童の気持ちを読み取ることに長けていました。適切な声掛けを行い、児童との信頼関係を築くことは得意でした。
印象に残っている出来事を1つ挙げると、子どもから自分の過ちを話してくれたことがありました。内容は伏せますが、普通に考えたらしてはいけないことをその子はしていたのです。
私にはその子が故意にそのような行為をしたわけではないことを読み取ることができました。その子を強く叱るのではなく、「新しい知識を与える」という形で話をすることにしました。
すると数日後、その子が「前に教えてくれたやつ、もう大丈夫だよ」と自分から報告してくれたのです。
あの時は本当に嬉しくて、“ああ、自分の関わりがこの子の中で何かしら意味を持てたんだ” と実感しました。
このような対応が上手くいく子もいればそうでない子もいます。同じケースなど存在しないのです。子どもによって個々の対応が必要ですし、子どもが成長していくためにも職員は常に試行錯誤していかなければいけません。
かなり特性が強い子が集まっており、衝撃的なこともよく起こりますが、子どもが好きな方にとっては楽しく働ける職場ではないかと思います。大きな課題を抱えているとはいえ、結局のところまだ子どもなので、子どもらしいかわいい一面も見られますよ。
児童自立支援施設の仕事は、正直に言えば本当に大変です。
でも、子どもたちが少しずつ変わっていく瞬間に立ち会えるのは、他の職場では味わえない醍醐味です。
まとめ
児童自立支援施設の一日は、決して楽ではありません。
24時間体制の生活支援、日々起きるトラブル、細かいルールの管理——大変なことが多い職場です。
しかしその一方で、
子どもたちの小さな成長に直接立ち会える、やりがいの大きい仕事でもあります。
HSP気質のある私は、子どもの気持ちの変化に気づきやすかったため、信頼関係を築けた瞬間の喜びは特に大きいものでした。
この記事が、児童自立支援施設に関心を持つ方や、福祉で働いてみたい方の参考になれば嬉しいです。
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