【HSP社会福祉士】非行少年に胸ぐらを掴まれた話|“試し行動”と感情表現の未熟さ
こんにちは、HSP社会福祉士のたくやです。
社会福祉士として、大学卒業直後に児童自立支援施設で勤務を始めた私は、子どもたちとの生活に日々緊張と期待を抱えていました。
しかし、仕事を始めて1ヶ月ほど経ったある朝、予想外の出来事が起こります。
中学3年の非行少年が歯磨き中に他の子にちょっかいを出していたため注意をしたところ、
突然胸ぐらを強く掴まれました。
初めて身に受ける力のある衝撃に、
思わず息を飲みました。
幸い大事には至りませんでしたが、
社会人になってすぐに経験するにはあまりにも衝撃的な瞬間でした。
この体験は、単なる“力での威嚇”ではなく、
試し行動や自己防衛、
そして感情表現の未熟さなど、
さまざまな要素が絡んでいたと思います。
今回の記事では、当時の経験を振り返りながら、
HSP社会福祉士として見えた現場のリアルと学びを共有します。
👉「関連記事:児童自立支援施設の1日の流れ|元職員がわかりやすく解説」

新人福祉職員として直面した非行少年
入所初期の状況と当時の自分
私が児童自立支援施設で勤務を始めた頃は、
児童数も少なく、比較的落ち着いていました。
昔と比べて入所してくる児童の特性は変わってきているようで、いわゆるヤンキーのような雰囲気の子は少なくなっています。
現在は障害などの特性が原因で問題を起こしてしまう子が多いです。
私が働き始めた時は、不良文化のようなものを持っている子はいませんでした。
そんな中、胸ぐらを掴んできた子が入所してきます。
その子は不良文化の中で育ってきたような子で、今では珍しいタイプです。
入所してすぐに、その子は施設内でリーダー的存在となっていました。
周りの子は障害や特性がある子が多く、
不良文化とは無縁でした。
精神的には幼い子達が多かったです。
その子が中心になってしまうのは避けられなかったでしょう。
私はHSPの特性もあってか、
子どもと信頼関係を築くことは得意でした。
その子ともよく話をしていたのですが、
最初施設に来た時は拍子抜けしたそうです。
ヤンキーばかりで怖い場所ではないか、
野球未経験なのでバカにされるかも(施設ではクラブ活動として野球を行います)、
施設でやっていけるか心配など、
不安も多かったと話していました。
結果的には、施設はその子中心に動くような環境になってしまいました。
職員としてはやりづらいですし、周りの子に悪影響を与えることも多かったですね。
歯磨き中の衝撃的な一瞬
私が働き始めて1ヶ月ほど経ったある日、
事件は起こりました。
子どもたちがみんなで歯磨きをしている際、
例の子どもが他児に向けて殴るジェスチャーを繰り返していたのです。
何度か体にも触れていました。
施設内での身体接触は禁止されており、ましてや殴るなどの暴力行為はもってのほかです。
じゃれ合いのような感じで拳を向けており、
実際に殴ろうとしている様子は見られませんでしたが、見過ごすわけにはいきません。
私は間に介入し、
接触を止めるように促しました。
すると、子どもが突然私の胸ぐらを掴み、
壁に押さえつけてきたのです。
ここで働いていれば、暴れる子どもの対応をすることもあるとは思っていました。
ですが、こんな形で直面するとは思いもしなかったです。
私は空手を習っていた経験もあったので、
すぐに距離を取ることができました。
子どもの方は冗談だよといった感じで、
すぐに手を離し笑っていました。
一瞬の出来事でしたが、私にとっては忘れられないものとなりました。
このような経験は、
児童自立支援施設や福祉現場で働く方にとって決して珍しいものではありません。
行動の背景にある心理
試し行動としての側面
今回の胸ぐらを掴んだ行動については、
試し行動の側面もあったと思います。
試し行動は、施設の子どもによく見られます。
主に子どもが周囲の大人に対し、
「どこまでなら許されるか」
「自分は本当に愛されているか」
などを確かめるために、あえて困らせるような言動をとることを指します。
私は施設で3年間勤務しましたが、数え切れないほどの試し行動を見てきました。
対応の仕方はケースバイケースですが、
一貫して変わらないのは、
ダメなものはダメだと伝え続けることです。
そういった指導に加え、その子どもの背景ともしっかり向き合ってあげることも重要です。
この仕事をしていると、子どもの対応が嫌になることはもちろんあります。
ですが施設職員として、子どもと向き合うことを止めてはいけないのです。
今回の件についても、
胸ぐらを掴まれたからといって、
その子との関わりを止めてはいけません。
ストレスや恐怖などが原因で子どもとの関わりができないと感じた時は、上司に相談しましょう。
業務内容の見直しや、
休暇が必要な場合もあります。
施設での児童対応はチームプレーです。
職員ごとに対応が変わっていては、
子どもたちの不信感が増してしまいます。
一貫した対応ができるように、
職員全体で協力していく必要があるのです。
自己防衛・感情表現の未熟さ
胸ぐらを掴んだことについて、私の感覚としては自己防衛の側面が大きかったと思っています。
思春期真っ只中の中3男子にとって、
人前での注意は「自尊心を傷つけられた」と感じやすいです。
感情表現もまだ未熟なため、
反射的に手が出たのだと思います。
防衛本能のようなものが働いたのかも知れません。
この子の場合、すでに施設のリーダー的存在だったので、他児の前では自分を強く見せたかったのだと思います。
ADHDとの関係性
後の病院受診で判明するのですが、胸ぐらを掴んだ子はADHDの特性を持っていました。
今回の件について、ADHDの特性が関係していた可能性も考えられます。
ADHDの大きな特性に、「衝動性」があります。
脳のブレーキが利きにくいため、注意された瞬間に、カッとなって胸ぐらを掴むという行動に直結したのかもしれません。
また、ADHDは感情の振れ幅が大きく、
怒りや不当感を強く感じます。
今回の件ではほとんど感じませんでしたが、場合によっては攻撃されたように受け取ってしまい、パニックに近い状態で行動化に出ることもあるでしょう。
現場での対応と学び
安全確保と距離を取る対応
児童自立支援施設で働いていれば、
暴れる子どもの対応を行うことも多いです。
施設で求められるのは、子どもと職員が互いに怪我をしないような方法で、児童を安全に抑止することです。
武術の経験なども役に立ちますが、自分も相手も傷つけないようにというのは難しいものです。
私たちの施設では、CVPPP(包括的暴力防止プログラム)が実践されていました。
不穏・興奮状態の人に対し、
身体拘束や隔離を最小限にしつつ、
対話とチームアプローチで安全にケアを提供するプログラムのことです。
職場で研修が設けられており、
座学・実技を通じて学んでいきました。
現場で実践する機会もよくあったので、
本当に学んでよかったです。
CVPPPについてはまたいつか記事にします。
CVPPPが実践できないような状況では、
子どもから離れて距離を取ります。
無理やり押さえつけて怪我をさせてしまった場合、自分が加害者になってしまいますから。
お互いの安全確保が最優先です。
暴力の背景を考える
施設職員として大切なのは、
暴力行為のその背景に目を向けることです。
先述したように、
その背景にある意図や特性を考えましょう。
子どもの背景を理解することは、
支援の方向性の決定、
職員のバーンアウト防止、
子ども本人の自己理解にも繋がっていきます。
他職員の経験と比較することも非常に大事です。
自分のケースについて考えていくうえで、
他ケースが参考になることもあるからです。
とはいえ、全く同じケースは存在しません。
他ケースと自分のケースが同じだと捉えないように注意しましょう。
HSP社会福祉士として考えたこと
分野をを問わず、福祉職として現場で働く人は、今回のような衝撃的な体験をしてきた人が多いのではないかと思います。
大学で学んでいた時から分かってはいたのですが、実際に自分が現場に出ることで、福祉職の大変さを身をもって知りました。
仕事に慣れていない新人の時代に、大きな出来事に直面したときの精神的負担は計り知れません。
私の場合はHSPの特性もあり、
ひどく消耗してしまいました。
こうした経験が続くと、
想像以上に消耗していきます。
私自身が実践している回復方法については、
こちらにまとめています。


HSPという特性は、
福祉の仕事をするうえでは大きな強みです。
共感力が高い、
繊細なサインを読み取れる、
丁寧な対応ができるなど、
福祉職に向いている点が多いです。
一方で、感情移入し過ぎで疲れる、
周囲の感情に振り回されるなど、
HSPにとってしんどい要素が多いのも福祉の現場です。
福祉の現場についていけずすぐに辞めてしまった、福祉の仕事に向いていると思っていた人が急に療養休暇に入ってしまったという話もよく聞きます。
私自身、児童相談所で働いていた時に、
療養休暇を取得した経験があります。
そんな私が思うのは、
福祉の仕事を続けていくうえで、
セルフケアが絶対に欠かせないということです。
特にHSPの方は、絶対に必要です。
人とたくさん関わる福祉の仕事で活躍し続けるには、利用者だけでなく、自分の体も大事にしなければならないのです。
限界が来るまで働いてしまう前に、
日頃からセルフケアを取り入れましょう。
静かな時間を作ることや、一人で落ち着ける環境を整えることも大切です。
回復ルーティンやセルフケアについても記事にしていますので、よかったら覗いてみてください。
👉「関連記事:人と会った後の回復ルーティン|疲れを引きずらない過ごし方」

👉「関連記事:疲れやすい人が、自分を守るためのセルフケア」

「向いているのに続けられない」
そんな状態にならないためにも、自分の特性を理解した働き方が大切だと感じています。
まとめ
今回の経験を通して感じたのは、
目の前の行動だけで子どもを判断してはいけないということです。
胸ぐらを掴まれるという衝撃的な出来事の裏には、試し行動や自己防衛、そして感情表現の未熟さといった複数の要因が重なっていました。
福祉の現場では、このように一見“問題行動”とされるものにも必ず背景があります。
その背景に目を向けることが、
より良い関わりや支援につながっていくと、
現場での経験を通して強く感じました。
一方で、こうした出来事は職員にとって大きなストレスや消耗の原因にもなります。
特にHSPの特性を持つ方にとっては、感情の揺れや緊張が積み重なりやすく、知らないうちに限界に近づいてしまうことも少なくありません。
だからこそ大切なのは、
子どもと向き合うことと同じくらい、
自分自身の状態にも目を向けることです。
無理を続けるのではなく、日頃から回復する習慣やセルフケアを取り入れていくことが、長くこの仕事を続けるためには欠かせません。
現場での経験にしんどさを感じている方は、まずは自分を整えることを優先してみてください。
私自身が実践している回復ルーティンやセルフケアについては、以下の記事で詳しくまとめています。
正直、このあたりを意識するだけでかなり楽になります。
無理なく続けられる方法を紹介しているので、
よければ参考にしてみてください。
👉「関連記事:人と会った後の回復ルーティン|疲れを引きずらない過ごし方」

👉「関連記事:疲れやすい人が、自分を守るためのセルフケア」

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